【鈴木先生から】( 二〇二三年八月二十一日)
若い修行僧二人が修行を終えて、それぞれの寺に帰る道中のことです。橋のない川のほとりにやって来ました。若い美しい娘が川を渡るのに困っている様子でした。
一人の修行僧は、女性に触れることにためらい、どうしてあげるべきか悩んでいました。
それに対して、もう一人の修行僧は、さっさとその娘を抱え上げ、さっさと川を渡ってしまいました。
娘と別れた後、娘を抱え上げた修行僧に問いました。
「戒律に照らし先程の決断はとてもできるものではない」と。
すると、「まだその娘のことを抱いているのか。過ぎたことは忘れることだ。」と。
過去のしがらみにこだわらず、将来のことに杞憂せず、「即ち今を生きる」ことの大切さを説いた説話です。