住職:
必要に迫られたときに発するパワーってすごいんです。
学校に行けば教えてくれるかもしれないけれど、それは覚えたふりをしているだけで身にはなかなかつかないと思います。
吉田:
「できますか?」と訊かれても、仕様書を見ても分からないことが大半。
だから、「は、はい! できます!」って言ってしまってから、急いで大阪の日本橋に行って、ありとあらゆる基盤やら部品をごそーっと買ってきて実験するんです。
—-吉田さんのようなやり方をするエンジニアは珍しいのでしょうか?
住職:
やり方というか、センスですね。
—-では、吉田さんは「センス」と「パワー」と「喜んでほしい」という気持ちでできているんですね(笑)
吉田:
センスとパワーは自覚がないですね。
ただただ、お客さんに喜んでほしい。
「よかった」「ありがとう」という、ただそれだけ。
使ってもらってナンボですから、「何とか動きましたね」でもいいんです。
曲がりなりにも使ってもらえているのが喜びです。
使ってもらえないと、せっかくのご縁もシステムや自分を向上させるチャンスもなくなりますからね。
—-パワーという意味では、何かエピソードはありますか?
住職:
東京御廟の開発のときは本当にギリギリで。
吉田:
言っちゃ悪いけど、2人ともお尻に火がつかないとやらないタイプじゃないですか(笑)
住職:
あのときは本当に開発の時間がとれなくて。
3月に家族で弟が赴任しているスウェーデンに旅行したのですが、その飛行機の中や、宿泊するホテルで受付端末の指示系統のコンセプトづくりをやりましたね。
あのころは飛行機のサーチャージが高かったなぁ…(笑)
二、三日後の4月だと安くなったんですが、もうそこ以外日程が取れなくて。
吉田:
6月の最後のほうは、開発のために東京御廟で寝泊まりしましたよね。
住職:
あと開発が完成した後も大変でした。
ある時、本当に久しぶりに家族サービスで遊園地に行ったのですが、着いた瞬間に電話がかかってきて、「ご住職! システムが止まりました!」と呼び戻される。
朝、東京を発ったはずなのに、夕方にはまた東京にいましたよ。
でも、そういったことを積み重ねることで、どこかのノウハウを拾ってくるのではなく、安定して運用できるものにするための試行錯誤をして乗り越えてきました。
他の納骨堂にはない、例えば墓誌や遺影を映し出すといった、ITを駆使したサービスも提供している訳ですから、まさにトライ&エラーの繰り返しでした。
吉田:
ガンダムみたいですよね。戦いながら成長してくという。
まぁ、どちらがアムロで、どちらがシャアでもいいですけど(笑)
―続く―