—-お客様と作り上げる…、何だか素敵なやり方ですね。
住職:
現場でスキルアップしてくというやり方です。スポ根アニメみたいに(笑)
吉田:
そうそう。ドラゴンボールみたいに「負ければ負けるほど強くなる」みたいな。
きっと終わりはないと思うんです。「ここまでやったら人生安泰」なんていう仕事はない。
だから、いつまでもスキルアップするとか、チャレンジするというやる気や意欲をどんどん高めていきたいし、僕と一緒に仕事する人にも、やる気やスキルをどんどん高めていってほしい。
その点、ご住職からの要求事項は、もの十何年もの間、新しいことがどんどん出てくるんですね。「このソフトを使って開発してみてくれませんか?」から始まって、「東京御廟で使う装置をつくってくれませんか?」という話まで。
「え? 僕、そこまでやるんですか?」って、最初は驚きましたが、そういう積み重ねで覚えていく。そうすると自分の弱点が分かって、「この部分は、まだ技術が追いつかないから他の人に任そうか」というふうに見えてくるんです。
住職:
そうそう吉田さんはそういうエンジニア。でも吉田さんと違い、修得した技術の範囲だけで仕事をする普通のエンジニアには寿命があるんですよ。
—-仕事が楽しいだけでは限界があると?
住職:
これはあくまでも私の主観ですが、衰えていくという意味の寿命じゃなく、その仕事で生きていくなら、ある一定の技術を持ったとき、次は全体を俯瞰できる立場にならなくてはならない。普通のエンジニアのままでは、それは難しいということです。私はその方向ですね。
—-開発が好きで好きで…例えば「オタク」と呼ばれるような人はどうなんでしょう?
吉田:
ノーベル賞をとった島津製作所の田中さんは「出世してしまったら研究ができないから、一生ヒラでいたい」って取締役を拒みましたよね。
—-で、どうなったんですか?
吉田:
島津製作所も、それはどうにかしないといけないってことでできたのが「田中研究所」。…え? 田中さんの話、載せるの?(笑)
–完–