住職:
あの頃は、前が見えて進んでいたわけではなくて「進まなきゃ」って感じでしたね。
若いからできたんですよね。
――苦しいというとはまた違うわけですよね?
吉田:
開発で「苦しい」とか「やめたい」とか、思ったことはなかったですね。
つくるのが好きというか、「喜んでもらいたい」という気持ちが強かったのだと思います。
それに、試されているという気持ちもあったかもしれません。
「なぜ開発ができない自分にやってみろなんて言うんだろう」
「まだ知識もない自分に依頼するなんて、どういうことなんだろう」
と考えながらも、それに応えようと必死でした(苦笑)。
最初は自分のブレーンに手伝ってもらっていましたが、
喜んでもらえるリニアな対応が出来ない悔しさがどうしてもありました。
中継ぎしているうちに徐々に知識が備わっていったんでしょう。
システムを直すということからスタートして、今では根本的に組み立て方を変えるとか、依頼された内容プラスαのプログラムを立てられるようになりました。
――吉田さん自身も、こんなにできるようになるとは思っていなかったのではないですか?
吉田:
僕は「やってみませんか」と言われたら、どうすれば期待に応えられるか考えるんです。外注やアウトソーシングという方法もあります。
でも、「リニアな対応」をと考えてしまうと、自分でやってしまうんですよね。
頼まれたら、その場で直してあげられますから。
一度会社に持ち帰って見積もりをして…と段階を踏んだやり方でも、それはそれで良いものができかもしれないけれど、
時間がかかったことで時機を逸してしまっているかもしれないし、お客様が困っている時間が長くなるかもしれない。
「すぐ直してあげたほうがいいじゃないか!」と思ってしまったのが、運の分かれ目でしょうか(笑)。
今では話をしている最中に、「どうやって組み立てようか?」と考え出してしまいます(笑)。
―続く―